オリンピックまでに殺処分ゼロを目指すキャンペーン
オリンピックまでに殺処分ゼロを目指すキャンペーン
殺処分ゼロはかねてよりの目標とされていましたが、それは動物愛護団体や、一部の動物を好きな人のみのことでした。
多くの人にとって保健所で行われる殺処分は自分に関係のないことであり、特に関心を持っていないという状態が当然のものとなっていました。
このことは悲しいことでもありますが、事実であるとして認識しなくてはなりません。
しかしそうした状況を大きく変えることになったのが、東京オリンピックを控えた現在になって行われるようになった「TOKYO ZERO」キャンペーンです。
これは藤野真紀子氏と佐藤大吾氏、ハリス鈴木絵美氏の三人を理事とした団体が主催するキャンペーンで、2020年の東京オリンピックまでに殺処分ゼロの社会を実現するためスタートしました。
発足時点で芸能、文化、運動などさまざまな分野の著名人27人が名を連ねており、多くの人から賛同を受けるようになっています。
このキャンペーンの中で目標とされるのは主に三つのステップです。
まず一つ目のステップとなるのが、ペット産業適正化のための8週齢規制の実現です。
これはペットが十分に親離れできる8週齢を迎えるまで販売できないようにするという規制です。
8週齢未満で親から引き離してしまうと無駄吠えなどが発生して飼い主とのトラブルが引き起こされ、飼育放棄に繋がりやすくなりますから、この規制を実現することは重要です。
次の二つ目が、捨てられた犬や猫の受け皿となる施設の整備です。
ここでモデルとされている施設がドイツのティアハイムと呼ばれる施設であり、この施設は一般の人が気軽に立ち寄って、里親になるかどうかを考えることができるようにされています。
動物たちが安心して過ごすことができる殺処分を行わない施設となっていますから、現在の動物愛護センターとは全く別の施設です。
これを作ることで里親を円滑に見つけられるようにし、殺処分ゼロを目指せるようにするのが目的です。
そして三つ目は、保護権・保護猫が里親を見つけやすくする環境の整備です。
現状、捨てられた犬猫の殺処分率は77%ほどあるとされています。
2012年度に全国で捨てられた犬猫の数は判明しただけで22万2883匹、そのうち殺処分されたのは17万2360匹となっており、新しい飼い主が見つかったのはたった3万3096匹でした。
しかしこれは環境を整備し、より里親を見つけやすい状況にすれば、格段に改善できるとされています。
そのため保護犬・保護猫を迎えるという選択肢を社会に浸透させる働きが重要になります。
オリンピックは世界的なイベントであり、その主催国となる日本に対してはあらゆる面で良い国であることが求められます。
現代の世界に置いて犬や猫は道具ではなく家族です。
そうした家族になり得る存在をどれだけ大切にできるか、どれだけ殺さないようにできるかは、先進国の一つである日本が持つ多くの課題のうちの一つと言えるでしょう。