殺処分ゼロを目指すNPOの犬猫を引き出し活動
殺処分ゼロを目指すNPOの犬猫を引き出し活動
飼い主が飼育放棄したり、迷子になった犬や猫は、 新しい飼い主が見つからなければ動物愛護センター(保健所)で殺処分となります。これらは、人間の勝手によって失われた命です。
都心では少なくなった野良犬ですが、地方では放し飼いはまだ多く、管理されていない繁殖が行われています。そのため、まだ生まれたばかりの子犬が処分されることもあります。また、動物愛護センターに保護された犬の2割が、転勤や飼い主の高齢化などの人間の勝手による飼育放棄です。猫については、都心でもホームレスなどによって餌付けされ、知らないところで新たな命が誕生し、処分されていることもあります。
人間の勝手によって生まれた命を殺処分することに異議をとなえ、殺処分ゼロを目指す特定非営利活動法人NPOがたくさん立ち上がっています。愛犬家、愛猫家の著名人たちが主催する団体などもあります。
2年連続殺処分ゼロを実現した神奈川県動物愛護センターは、センター職員が積極的に保護された犬や猫の環境を整え、里親を探す取り組みをしていますが、まだまだ消極的な市町村も多く、殺処分ゼロの実現の道は険しいようです。
これらのNPO団体は、動物愛護センターから犬や猫を引き出して、センターの運営する施設で飼育します。NPOは飼育のための餌代、医療費にお金がかかります。そのため、多くのスタッフを雇うことができません。施設運営のためにはボランティア活動が不可欠です。また、施設だけでの飼育では、引き出し頭数が限定されてしまいますから、個人宅での預かりボランティアの存在も欠かせません。預かりボランティアは、引き出しされた犬猫にとって、適した家にもらわれていくことができるように、健康状態の管理を行い犬猫の特性を見極め、ブログなどで広く認知する活動を行います。
しかし、動物愛護センターに持ち込まれる犬は、ペットショップにいるような健康な子犬ではありません。高齢であったり、病気を持っていたりする場合も多いです。また、人慣れしていない環境で飼育された犬は、新しい飼い主に譲渡することは難しいですから、センター保護から約1週間で殺処分となります。
殺処分ゼロは、各市町村の動物愛護センターやNPOの活動を活発にするだけでは実現することができません。それに参加するボランティア、その犬や猫を引き受けようと思う里親を増やすために、活動への理解を広めることが必要です。また、センターに保護される犬・猫を減らすという根本への取り組みである、むやみな繁殖や勝手な飼育放棄をしないという飼い主の責任意識を問う活動がとても重要です。